木は、水分を吸って膨らみ、乾いて縮みます。この動きを完全に止めることはできません。できるのは、表面を守って、水が染み込む速度を落とすこと。梅雨入り前の1時間が、1年分の傷みを減らします。
塗装を見れば、手入れが決まる
木製家具の手入れは、塗装の種類で全部変わります。間違えると、かえって傷めます。
オイル仕上げは、木に油を含ませて守るタイプ。表面に膜がないので、水は染みます。だから定期的に油を足す必要があります。手入れは3ヶ月に1回。蜜蝋ワックスか、亜麻仁油を使います。
ウレタン塗装は、表面に樹脂の膜を作るタイプ。水を弾きますが、膜が傷つくと一気に染みます。手入れは、乾いた布で拭くだけ。ワックスを塗ると、膜の上に油分が残り、かえって汚れます。
ウォルナットやオークの無垢材で、オイル仕上げが多いのは、木目を活かすためです。逆に、突き板にウレタンという組み合わせも多い。見分け方は、水を1滴落としてみること。染み込めばオイル、弾けばウレタンです。
| 塗装 | 水の染み込み | 手入れの頻度 | 使うもの |
|---|---|---|---|
| オイル仕上げ | 染みる | 3ヶ月に1回 | 蜜蝋ワックス、亜麻仁油 |
| ウレタン塗装 | 弾く | 汚れたときだけ | 乾いた布、水拭き |
| 無塗装 | すぐ染みる | 月1回 | オイル、ワックス |
蜜蝋ワックスの塗り方
オイル仕上げなら、梅雨入り前に1回塗ってください。所要時間は、ダイニングテーブル1台で20分ほどです。
1. 天板の埃を、乾いた布で払う。濡れた布は使わない。 2. ワックスを、1㎡あたり5ml取る。ティースプーン1杯が約5mlです。 3. 木目に沿って、薄く伸ばす。円を描くと、木目に油が溜まります。 4. 30分置く。この間に、ワックスが木に浸透します。 5. 乾いた布で、余分な油を拭き上げる。ここを省くと、ベタつきます。
塗った直後は、24時間ほど水を避けてください。コースターを置くのも、翌日からにします。

湿気は、50〜60%で止める
木が反るのは、湿度の上下が原因です。40%と80%を行き来すると、天板は1mm単位で動きます。目標は50〜60%。この範囲なら、ほとんど動きません。
除湿機を使うときは、風を家具に直接当てないでください。1m以上離すと、急な乾燥を防げます。直接当てると、表面だけ乾いて、内側との差でひびが入ります。
梅雨の時期は、家具の下に空気を逃がすのが効きます。脚が10cm以上あるなら、そのままで大丈夫。脚が低い場合は、3cmの木片を4つ、脚の下に敷くだけで、床とのあいだに空気の層ができます。
水染みができたら、まず乾かす
白い輪染みは、表面の塗膜の中に水が入った状態です。これは、乾かせば消えます。ドライヤーを30cm離して、弱風で5分。焦げないように、動かしながら当ててください。
黒っぽい染みは、木の中まで水が入った状態です。これは、乾かしても消えません。紙やすりで表面を削り、オイルを塗り直す必要があります。400番から始めて、800番で仕上げます。
急いで拭くと、塗膜を傷つけます。まず乾かす。これが原則です。
道具は3つで足ります。乾いた布、蜜蝋ワックス、そして400番と800番の紙やすり。この3つがあれば、日常の手入れから軽い傷の補修まで対応できます。
布は、綿か麻を選んでください。マイクロファイバーは油を吸いすぎて、天板に残す量が足りなくなります。古いTシャツを切ったもので十分です。
ワックスは、蜜蝋が主体のものを選びます。カルナウバ蝋は硬度が高く、床向き。家具には、伸びのいい蜜蝋のほうが扱いやすいです。1缶200gあれば、ダイニングテーブルなら3年もちます。
傷が入ったときは、まず800番で軽く擦ります。それで消えなければ400番、という順番です。いきなり粗い番手を使うと、木目を潰します。
よくある質問
Qアルコールで拭いてもいいですか?
ウレタン塗装なら短時間なら大丈夫ですが、オイル仕上げは避けてください。塗膜が溶けます。
Q市販の家具用クリーナーは必要ですか?
オイル仕上げなら不要です。ワックスと乾いた布があれば足ります。
Q天板に熱い鍋を置いてしまいました。
白く濁った跡は、ワックスを塗り直すと薄くなります。焦げた場合は、削るしかありません。
Q梅雨の時期、家具を移動させたほうがいいですか?
窓際から1m離すだけで十分です。移動より、除湿のほうが効果があります。
Q無垢材と突き板、手入れは違いますか?
表面の塗装が同じなら、手入れは同じです。ただし突き板は、削り直しができません。
木は、手をかけた分だけ長く使えます。次は、食器棚の中を梅雨から守る方法をまとめています。



